教師のうつ病:見逃しがちな初期症状とセルフチェック方法

教師のメンタルヘルス

こんにちは、公認心理師&セラピストのあべ子です^^

教師という職業は、やりがいがある一方で、ストレスも多く、うつ病のリスクが一般企業の2.5倍とも言われています。

ところが、うつ病で休職する教師の多くが、直前まで精神科を受診していません。

そこには、次のような背景があります。

  • 本人に「うつ病」に対する知識(病識)が少ない。
  • 生活に支障が出るまで、周りも気が付かない。
  • 身体的症状(頭痛、腹痛、めまい、食欲不振等)の出現により、内科等を受診し、心療内科や精神科への受診を勧められ、そこで精神疾患とわかる場合もある。
ばなーぬ先生
ばなーぬ先生

日本では、精神科のネガティブなイメージや抵抗感もまだまだあるよね。

そこで、今回の記事では、教師特有のうつ病の初期症状と自己チェックの方法をまとめました。

この記事は以下のような人におすすめ
  • 自身の症状がうつ病かどうかを確認したい先生。
  • うつ病の兆候や症状を理解したい教員のご家族。
  • 最近メンタルが少し心配な同僚が身近にいる先生。

うつ病は早期治療が極めて重要で、治療を始める時期が遅ければ遅いほど症状が長引きます。

先生方が元気に教師生活を続けていくためには、少しでも早くうつ病の可能性に気が付き、適切な対応を取ることが必須と言えます。

あべ子
あべ子

何かおかしいと感じたら、違っていてもいいので、深刻化する前に精神科や心療内科に相談しましょう。

この記事を書いた人
公認心理師/心理カウンセラー/セラピスト
あべ子

激務に耐える先生のこころと体を整える情報を発信中。

【資格】
公認心理師、特別支援教育士、特別支援学校教諭専修免許状、教育学修士(障害児教育)、AGOメソッド®セラピスト

【経歴】
・元公務員心理職(教育委員会に10年以上勤務)。
・特別支援教育について教職員への助言にあたる。
・発達相談・教育相談 延べ3,000件。
・肩こり腰痛頭痛に20年間悩み、自律神経を整える整体を習得。
・二児の母。

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うつ病の初期症状:身体面

教師の方々が見落としがちな身体面の初期症状には以下のようなものがあります:

  1. 睡眠障害:寝付けない、何度も目が覚める。
  2. 慢性疲労:いつもより疲れやすい、身体が重く感じる。
  3. めまいや動悸:授業中に目が回る、呼吸が苦しくなる。
  4. 食欲の減退:給食の時間が苦痛に感じる。
  5. 原因不明の身体の痛み:頭痛や腹痛が続く。

これらの症状が慢性的に続く場合、うつ病の可能性があります。

ばなーぬ先生
ばなーぬ先生

夢の中でも仕事をしてて、朝起きて「これから2ターン目かよ」って愕然とすることがあるよ。

あべ子
あべ子

それ、だいぶよろしくないですね…

うつ病の初期症状:行動面

同僚や生徒たちが気づきやすい行動面の変化には次のようなものがあります:

  • ボーっとすることが増えた(授業中の集中力低下)。
  • 時間を守れなくなった(遅刻や提出物の遅れ)。
  • 人との接触を避けるようになった(職員室での会話減少)。
  • 身だしなみを整えなくなった。

教師特有のうつ病サイン

仕事への情熱や責任感が強い先生ほど、自身の健康状態の変化に気づきにくい傾向があります。

以下に、教師という職業の特性と密接に関連していると思われるようなサインを挙げてみました。

仕事への過度の没頭

教師は使命感が強く、子どもたちのためにと献身的に働く傾向があります。

しかし、これが行き過ぎると危険信号となります。

  • 休日も授業準備や採点に没頭し、リフレッシュの時間が取れない。
  • 夜遅くまで学校に残り、仕事を家に持ち帰る習慣がある。
  • 生徒の問題や学校の課題を常に考えており、心理的に仕事から離れられない。
あべ子
あべ子

自己犠牲しがちな先生は特に要注意ですよ。

決断力の低下

教育現場では日々多くの判断が求められますが、うつ病の初期症状として決断力の低下が見られることがあります。

  • 授業計画の立案に通常以上の時間がかかる。
  • 生徒指導の場面で適切な対応を選択するのに迷いが生じる。
  • 会議での発言や意見表明が減少する。

感情の変化

普段は冷静で温厚な人でも、うつ病の兆候として感情の変化が現れることがあります。

  • 些細なことで生徒にイライラしたり、声を荒げたりする頻度が増える。
  • 同僚との会話で不必要に批判的になる。
  • 以前は意欲的だった学校行事や課外活動が面倒くさくなる。

課外活動や余暇への興味喪失

部活動の指導に熱心に取り組もうと努力される先生も大勢いますが、うつ病の兆候としてこれらへの興味が失われることがあります。

  • 部活動の指導が億劫に感じ、積極的に関わろうとしなくなる。
  • 休日の自己研鑽や趣味の時間が減少し、ただ休息するだけの時間が増える。
  • 同僚との親睦会や飲み会への参加を避けるようになる。
ばなーぬ先生
ばなーぬ先生

怠けと勘違いされやすいかも。

あべ子
あべ子

そうですね、だから周囲の人や管理職がこういったサインを知っておくことが重要だと思います。

教師のうつ病初期症状チェックリスト

これまでの内容を踏まえ、先生方が簡単にできるチェックリストを作成しました。

30秒ほどでできるので、ぜひ参考にしてみてください。

教師のうつ病初期症状チェックリスト
1.最近、寝付けない夜が増えたり、寝たとしても何度も目が覚めることがある。
2.いつもより疲れやすく、日常生活や授業準備に支障をきたすことがある。
3.食べる気がしない日が増えたり、逆に過食するようになった。
4.悲しさや無気力感を感じることが増えた。
5.小さなことで怒りっぽくなったり、不安を感じることが多くなった。
6.授業中に注意が散漫になり、集中力が低下していることがある。
7.同僚や友人との交流を避けたくなることが増えた。

チェック項目の1~3は「身体的症状」、4~5は「感情的症状」、6~7は「行動的症状」となっています。
複数の症状が見られる場合は、専門家に相談しましょう。

教師のうつ病初期症状チェックリストのイラスト

まとめ

うつ病の初期症状は、単なる疲れや一時的なストレスと見誤りやすいものです。

しかし、これらの症状が続く場合は、早めの対応が重要です。

一人で抱え込まず、管理職や同僚に相談したり、専門医の診断を受けることをおすすめします。

教育者としての使命感から、自身の健康を後回しにしがちですが、心身の健康は質の高い教育を提供するための基盤です。

定期的な自己チェックを行い、必要に応じて休養を取ることで、長期的には子どもたちにとってもプラスになります。

自分自身を大切に扱うことは、決して悪いことではありません。

特に、自己犠牲しやすいという自覚がある先生は、自分が思っている以上に自分自身のケアをする・自分に甘くする、という意識を持つぐらいでちょうど良いと思いますよ。

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